20年以上ぶりに、私の元へ戻ってきたミシン。
模様を縫う機能は、壊れていた。
ボビンも巻けなくなっていた。
糸切り機能も壊れていた。
修理屋さんにも見てもらったが、元通りには難しかった。
でも、
縫える。
直線やジグザグは、縫える。
マスクは作れる。
以前の私だったら、すぐに買いかえていただろう。
「壊れているから、買いかえよう」
でも、今は、この壊れているミシンが愛おしい。
新型コロナウィルスにより、いつでも何でも手に入る環境が当たり前ではないと気付かされてから、
モノへの見方が変わってきた。
「私、簡単に捨てすぎていたかも・・」
いつからか、捨て方がおかしくなっていた。
最近の私は、
断捨離だ断捨離だ!正義だ正義だ!
という気持ちでモノを捨てていた。
「慢心」
おごり高ぶっていた。
自慢していい気になっていた。
断捨離できる私、すごいでしょ!
周囲へのアピールのための断捨離だった。
モノを大事にしていなかった。
いつからこうなったのだろう。
あれかな?
人に、断捨離の素晴らしさを得意げに話し始めた頃からかな?
その頃から、私、おかしくなっていたんだな。
「初心」
最初に思い立った時の純真な気持ち。
純真か・・
微塵もないな・・
邪心だらけだ・・
「断捨離」には、これまでもいっぱい助けてもらった。
これからも続けていきたい。
でも、慢心せずにできるかな?
純粋な気持ちで、できるかな?
そういえば、壊れていたと思っていた糸切り機能。
ダメ元で何度も繰り返しレバーを押していたら、復活した。
すごく嬉しかった。
「あの時、すぐに捨てていたら、この感動味わえなかったんだな」
しみじみ感じた。
「断捨離」
最初の頃、どんな気持ちだったっけ?
思い出せない。
おかしくなっている時期が長すぎて、思い出せない。
断捨離と、少し距離を置こう。
しばらくは、今持っているモノを見直そう。
今持っているモノを、大事にしよう。
そして、時がきたら、断捨離を再開しよう。
断捨離を長く続けていきたいからこそ、今は、距離を置こう。
ミシン、いつまで動くかな?
いつまでも動き続けてほしいな。
使えば使う程、愛着がわいてくる。
「モノを大事にするって、こういうことだったな」
1台の古いミシンが、忘れていた大事な気持ちを思い出させてくれる。