数年前から、年1回くらいのペースでかかってくる、
栃木県大田原市からの間違い電話。
去年の暮れ。
それは、久しぶりにやってきた。
スマホに着信。大田原。
「大田原のじいちゃんだ」
わくわくしながら電話に出た。
あれ?
いつもなら、用件をすごい勢いで話してくるのに。
あれ?
いつもなら、「間違ってますよー」も届かないのに。
私の第一声で躊躇する、大田原のじいちゃん。
間違っているかもと怪しむ、大田原のじいちゃん。
間違っていることに気づいて電話をきる、大田原のじいちゃん。
いつもと違った、大田原のじいちゃん。
一抹の不安がよぎる。
「もうかかってこないかも・・」
もしかしたら、次は、
番号を間違えないように慎重に電話をかけてしまうかもしれない。
また、かけてきてくれるかな。
次かかってきたら、少し声をかけてみようかな。
「間違い電話、ありがとう」
そして、
「間違い電話、待ってます」
と。
名前も顔も何も知らない、
大田原のじいちゃん。
元気でいてね。