大田原からの間違い電話 2

数年前から、年1回くらいのペースでかかってくる、

栃木県大田原市からの間違い電話。

 

大田原からの間違い電話

 

去年の暮れ。

それは、久しぶりにやってきた。

スマホに着信。大田原。

「大田原のじいちゃんだ」

わくわくしながら電話に出た。

 

あれ?

いつもなら、用件をすごい勢いで話してくるのに。

あれ?

いつもなら、「間違ってますよー」も届かないのに。

 

私の第一声で躊躇する、大田原のじいちゃん。

間違っているかもと怪しむ、大田原のじいちゃん。

間違っていることに気づいて電話をきる、大田原のじいちゃん。

 

いつもと違った、大田原のじいちゃん。

一抹の不安がよぎる。

「もうかかってこないかも・・」

もしかしたら、次は、

番号を間違えないように慎重に電話をかけてしまうかもしれない。

 

また、かけてきてくれるかな。

 

次かかってきたら、少し声をかけてみようかな。

「間違い電話、ありがとう」

そして、

「間違い電話、待ってます」

と。

 

名前も顔も何も知らない、

大田原のじいちゃん。

元気でいてね。